釣り人は底が知りたい!伊豆下田篇
にっぽん夢紀行 伊豆(下田編)
南伊豆松崎の黒崎の石鯛釣り
黒崎は西伊豆の地磯では最も有名な磯の1つに数えられる。磯の先端は水深が10m以上もあり、潮の通りもいいので釣り人には人気がある。地磯なので徒歩でも渡れるが健脚向けでかなりきつい。渡船利用が便利である。先端の海底は砂地なのであまり石鯛釣りには適していないと思われる。
この日は本当は雲見の沖磯に渡船する予定であったが、磯釣り大会があり、近辺の渡船はどこも貸切状態。仕方なく地磯釣行に切り換えた。最初に行った龍崎はうねりで予定していた磯までたどり着けず途中の磯で竿を出したが結局、うねりに翻弄されて2,3投しただけで撤収。次に松崎の黒崎に向かった。
ここは一度、渡船で乗ったことはあったが、今回初めて徒歩で入った。磯の根元にある小山根元に駐車して小山の右脇の小道から山に入っていった。最初は山登りでしばらく山道を登って行ったが龍崎の磯上りで足腰がくがく。かなりきつかった。
ようやく磯の見渡せる崖の上まで来た。降り際に磯を見下ろすとかなりうねりがあり、磯の低い場所は波が洗っている。磯の先端左右とも釣り大会の先客が入っており、竿の出せそうな場所がない。突き出した黒崎の磯に入るのはあきらめ、降りた崖下左側に足場のいい磯があったのでそこで竿を出すことにした。磯の先端は波が這い上がってきそうなので下がったところにピトンを打った。
竿先はうねりに翻弄されて左右に振られっぱなしで餌取りの当たりも分からない。二人でサザエ、トコブシ、ガンガゼ、赤貝と餌を使い分けたがあまり餌取りはなく「これが餌取りの激しい秋磯なのか?」と疑うほどであった。
餌取りと遊ぶこともできず、期待感もなくしばらく機械的に打ち返していたが、AM10時頃、ふと黒崎の左脇に向けて遠投していた竿が一直線に突っぱっていた。うねりに翻弄されて左右に振れていたはずの竿が投げた方向に一直線に伸びたまま動かない。しばらく見ていたがそれ以上入りもしないし戻りもしないので上げてみることにした。
竿を立ててあおってみると何か付いているようでゆっくりと起きてくる。重量感を味わいながら巻いてくるが糸伸びや水深もあり、はっきりとした引きは感じられない。「何かついているよ!」と釣友に伝えて巻き続けた。
「イラかな?」と思いながら巻いていると、近くまで巻いてきたときやや左に走るような感覚があった。「おっ!もしかして?」と期待感が出た直後に足元で海底に向けて強烈に突っ込んで締め込み出した。慌てて竿を掴みなおし、引きに耐えていると足元にオスの石鯛が浮いてきた。「イシダイだ!オスだ!」と叫んで道糸を巻いて竿の反発力で一気に引っき抜いて磯に上げた。
釣り上げた石鯛の針を外していると釣友が「あっ!こっちも入っている!」と叫んだので連れの竿を見てみると左端の竿が突っ込んでいる。
釣友が竿にかけより、竿を掴んであおると乗っていた。巻いてくるとかなりいい引きをしているようで足元で粘りのある締め込みでなかなか浮いてこない。しばらく締めこんだあと浮いてきた魚はやはりオスの石鯛であった。
となりどうしで全く違うポイントでこんなに短時間での連発を経験したのは初めてであった。
上48cm、2.3kg 下45cm、1.7kg
竿を出した近くにいい水溜りがなくバッカンに水を入れて生かしていたが弱って色が変わってしまった。諦めて早々に絞めた。
久しぶりにまともなサイズの石鯛を見たので釣り上げ直後は3kg近いのでは?と思ったが検量してみると2.3kgしかなかった。いい顔をしている石鯛である。これが釣れたおかげで二人とも西伊豆の地磯釣行ハシゴの疲れが吹っ飛んだ。