Iヘタクソ今期初の釣果。

 この日、名人は二本の内の一本の竿の仕掛けをずっとこだわっていた場所へ投げ入れていた。そこは手前をハエ根が張り出し、その先もだらだらと下がっていくだけの浅場で遠投しても沖に切り立った根が突き出しているところである。凪の日の大潮の干潮にはハエ根を伝ってそこまで歩いていけるような場所である。そういう場所なので少しの波っ気の日でも波が立ち上がり、油断をしていると道糸を波に引きずられハエ根に絡み取られてしまうような本当にやり辛い場所で、例え魚をかけたとしても引寄せる前に根に引っ掛かってしまいそうな場所で普通の人は仕掛けを投げ入れようとは思わない場所である。

 かくいう管理人も見ていて正直「あんなところよく投げる気するな?」と思いながら見ていた。

 AM5:50、その竿を見ていた名人が「あれ?やけに道糸がたるむな?錘でも切れてしまったかな?」と言ったので竿を見たがそんなに緩んでいるようには見えなかった。少しうねりもあったので「波に引っ張られているだけじゃないですか?」と言ったのだが、名人は緩んでいるとずっと気にしていた。そのうち緩みを取るため竿の方に行ってしまった。

 こちらも餌を入れ替えて少し経ってから名人を見てみると竿を立ててやり取りしている様である。「お!何か掛かっているのか?」と見ていると海面下に白っぽい魚体が見えた。すると名人がガッツポーズをしたので本命と分かった。

 急いで駆け寄ると波に乗せて慎重に寄せている。「クチビル!クチビル!」と名人。針掛かりが悪いようでかなり慎重に寄せている。波に乗せて何とか低い磯に引き上げ、管理人が竿を受け取り、名人が魚を手づかみして安全な場所まで持っていきGET!

 体高と厚みがあり腹がパンパンの見栄えの良いギンワサであった。

48cm、2.3kg