53cm、2.9kg
 AM
5:30に正面に投げておいた竿に時々「ツンツンッ」というような餌取りみたいな当たりが出ていた。しばらく見ていたが入りそうもなかったので別の竿の餌を替えようとしてリールを巻いているときその竿を見ると突っ込んでがぶっている。
 慌てて持っていた竿を竿掛けに掛け、先ほどのすっぽ抜けに懲りて一息おいて合わせたがそのまま根掛かり状態となっていた。錘が引っ掛かっているのかと思い、ステイトを切る程度のあおりを何度か入れたが外れない。「魚が張り付いたか?」と思い、糸のテンションを緩めて待って見ると竿を引っ手繰っていくように引っ張る。「走った!」と思い竿を立てて糸を巻き取りに掛かるが糸の伸びを取ったところでやはり根掛かり状態であった。
 そこで竿を竿掛けにおいて糸を緩めて置いておくと、また竿が入っていく。「今度こそ出たか!」と思い竿を掴んで巻き取りにかかるがやはり糸ふけをとった段階で巻き取れなくなってしまう。そしてまた糸を緩めて竿掛けにおくとまた突っ込んで行くがやはり動かない。
 こんなことを何度も繰り返しているとそのうち竿の突っ込みがなくなった。「またばらしたか!」と本日2回目のバラシに凹んでしまった。竿を一本しか持っていなかったらこの時点で糸を切って次の魚に狙いを変えていたかもしれないがこの日は運良く複数の竿を出していたのでそのままにしておくことができた。
 案の定、間隔は長くなったが時々竿は突っ込む動きをした。魚が付いているのに取り込めない無念さでかなり気をもんで時々、泳いで外しに行こうかという考えも頭によぎったが自分のへたくそな泳ぎではこちらの命が危ないと思い止まった。
 その竿をしばらく放って置いているうちに、別の竿で小型を一枚取り、魚が張り付いてから1時間半後の七時過ぎに同じように竿が突っ込んだ。どうせまた引っ掛かっているんだろうと思いながらも竿をあおって巻いてみた。いままでだと糸の伸びを取った段階で巻けなくなるのだか今回はさらに巻くことができた。周りには私一人しかいないにも関わらず「出たぞ!よし取れる!」と叫んでいた。早めに底を切りたかったのでリールをガンガン巻き始めた。巻いているとそこそこの重量と引きが感じられ、30mほど手前でシマシマの魚が浮いて石鯛だと認識できた。(こんなに苦労して他の魚だったら落胆は相当なものだっただろう)。
 慎重に足元に寄せて波に乗せて足元のハエ根に引きずり上げ、下まで降りていき魚を確保!ようやく取り込むことができた。こんなに取り込みに苦労した魚はいなかった。何度もあきらめて道糸を切ろうとしたが辛抱して良かったと思った。魚はそこそこのサイズではあったが痩せていて腹の中には何も入っていなかった。卵巣はあったがふにゃふにゃだった。一時間半以上も隠れこんでいたせいか疲れて引きは弱かった。