大荒れの日の高活性 53cm、2.6kg
この日いつものように磯に行ってみると大時化状態でした。波は2〜3mあり、釣り場はどこも大波が這い上がって洗われていました。上物釣師は一人もおらず、荒れた日を好むルアーマンの姿も見えません。こんな状況で釣りをするのは気違いだと思っていると安房崎に一人、東に一人、オネガマに一人石鯛師がいるではないか。
いずれも知り合いで一人な ら絶対やっていなかったが餌も買ってきてしまっていたので気違いの仲間入りをすることにした。この時点で魚を釣るということは考えられなかった。釣
りをするという雰囲気を味わうためと餌を使い切ってしまわなければという気持ちだけであった。
東に入れてもらうことにした。荷物を波が被らない所へ置き、ピトンを磯際からかなり陸よりの場所に打って仕掛けを投げ入れた。二人ともいつもは竿
を2本出すのだがさすがにこんな状況では2本は扱えない。一本ずつ離れて出すことにした。
引き波のタイミングを見計らって磯際までかけより、速攻で仕掛けを投げ入れ、波がやってくる前に後ろに下がる。バックラッシュなどしようものなら大波を
もろに被ってしまうなんともスリリングな釣りであった。投げ入れた道糸は波に引きずられどんどん右のほうにたわんでいき、道糸を張ることなどできるはずも
なくそれでも波に踊らされる道糸の影響で竿は暴れ放題で餌取りの当たりなど分かるはずもない。仕掛けを上げるたびに根掛りしておまけに波しぶきを被りっぱ
なしという最悪の状態であった。こんな海にまさか石鯛が泳いでいるとは思いもよらず...
午前6時頃、釣友の声でオネガマを見てみると竿を曲げているではないか。海が荒れてあちこちでカジメがちぎれて漂っていたのでそれを引っ掛けてい
るのだろうと見ているとひょいと小型の石鯛をブリあげてしまった。その獲物は40cm、1.5kgくらいの雌石鯛
だった。
その後、誰にも何も釣れず相変わらず根掛りばかりでうんざりしていたので安房崎の方に様子を見に行って世間話をしていると午前8時ごろ、今度は
私の隣で竿を出していた釣友が竿を曲げているのが見えた。しかし、ガンガン竿をあおっている。根掛らしいと二人で見ていると、外れないのか竿をピト
ンにかけ、道糸を手に掴んで引っ張り始めた。道糸を体に巻きつけ引っ張るとようやく外れたようで再度竿を持って巻き始めた。しかしまだ何か引っかかってい
るようで重そうに巻いている。足元まで引き寄せてくるとまた竿を起き道糸を手で手繰り寄せている。???しばらく見ていると何か黒っぽい物体を引き上げ
た。それをもってこちらに向きガッツポーズをした。50cm、2.3kgくらいの雌石鯛だった。「手釣りで石鯛を釣ってしまった。」と2年ぶりの石鯛にうれしそうであった。
こんな大荒れの日に2匹も石鯛が釣れたことに信じられない気持ちだったが現実に見てしまったので蚊帳の外にならないよう私もまじめに釣りをすることにした。
しかし相変わらずうねりがひどく飛沫は被るし、投げると根掛りばかりであった。安房崎の釣り人はすでに撤収して、そのうちオネガマの釣り人も道具を撤収して私達の所へやって
きた。午後9時ごろ3人で話をしている時、釣友の竿が入った。しかし、波で竿が暴れっぱなしだったせいか合わすタイミングがうまくいかず針掛りしなかっ
た。「今日の城ヶ島はすごいぞ!」と誰もが思った。
私はオネガマへ場所を移すため道具を移動させることにした。午後10時頃、移動のため最後に投げ入れ
てあった仕掛けを上げようと竿を立てると何か重いものが付いている。またカジメが引っかかったか....とウンザリしながら巻き始めた。荒れた日にカジメ
などが付いた仕掛けを巻くときは波の影響を受けかなりきついものである。「何か付いてるんじゃないの?」と訪ねる釣友に「カジメ!カジメ!」と言ってなん
とも思わずリールを巻いていた。すると足元近くに来て、何か締めこみ始めた。???あれ?と思いつ巻きつづけると水面に銀ワサの姿が浮かんだ。
石鯛!石鯛!と叫んだ。波に乗せて引き上げようとするが引き波に戻されてしまう。四苦八苦していると釣友が道糸をつかんで引き上げてくれた。
この石鯛が私にとって始めての銀ワサであり始めての50cmオーバーの獲物でもありました。